
『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』連載インタビュー第9回:ユカリス役・ファイルーズあいさん 後編|ユカリスには「自分を奮い立たせる強さ」がある。リスペクトと熱量が交差する、“妻ショッカー”の変化と成長
岡田ユリコは「常に気高さを持ち続けているキャラクター」
ーー物語が進む中で、ユカリスはどんどん変化している印象があります。
ファイルーズ:敵意や嫉妬の出し方が変わっていますよね。
例えば、最初のファミレスのシーンでは、「店長、ぺちゃくちゃ喋らないでください」みたいに、かなりツンツンしていました。私自身は叫ぶ気満々で現場に入ったんですけど、「あれ? 思ってたより静かめ……?」と思ったのを覚えています(笑)。でも、その後はしっかり叫んでいたので、「ああ、この高低差が大事なんだな」と。ちょっとした洗礼のように感じました。
正体を明かした後のユカリスは遠慮なく自分を出していて、三葉の前でも大声を出したり、「嫌なものは嫌!」とバッサリ言ったりします。徐々に素のユカリスが出てくるところは、個人的にも好きなポイントです。
ーー第3話で、茅野愛衣さん演じる岡田ユリコに正体を明かすシーンは途轍もないインパクトでした。
ファイルーズ:私もすごく好きなシーンです! ちょっと官能的な雰囲気から入るというか、覗いていた浅野くんがドギマギしてしまうような空気を作らなければいけなくて、意識的に耽美な方向性のお芝居をしていました。
それを受けた愛衣さんも、すごく艶っぽい感じで返してくださって。その上で、あくまで教師の立場や気高さは保っているという。ユリコは常に気高さを持ち続けているキャラクターだと思っていて、愛衣さんの繊細なお芝居や意思の強さともリンクしている気がします。
ーーでは、特に好きなキャラクターを挙げるなら、ユリコになりますか?
ファイルーズ:いや〜難しい(笑)。でも……雲田かなあ。
ーー雲田ですか!
ファイルーズ:雲田、格好良いじゃないですか。もちろんユカリスやユリコも好きですけど、それぞれが別の“好き”という感じ。こんなに味付けの濃いキャラクターばかりだと、順位はつけられないです(笑)。
ーー一歩引いて行動するようなキャラクターは一人もいないですからね。
ファイルーズ:そうですね。この先も面白いキャラクターが出てくるので、楽しみにしていてください。
お前もショッカーにならないか?
ーー第9話ではユカリスと丹三郎の戦いが描かれました。
ファイルーズ:丹三郎の情けない姿が可愛いんですよね。戦いが始まる前はキリッとしていたのに、“本物”の変身が見られると分かった瞬間、恥もプライドも捨てて土下座しちゃって(笑)。欲望に対する愚直さが、本当に愛おしいです。
ファイルーズ:あと、丹三郎は前口上のくだりでユカリスがかわい子ぶるシーンを妨げるように「そんなの要らん!」と言うんですけど、すごく共感できます。純粋な“オタク心理”というか。特定の作品の話ではないのですが、私自身もオタクなので、セリフやローマ字の名前とか、立ち絵にデザインが入ったグッズを見て、「キャラの立ち絵だけでもいいのに!」と思うこともあります。
ーーむしろ丹三郎の方に共感していたのですね(笑)。東島丹三郎を演じる小西克幸さんのお芝居も凄まじいなと。
ファイルーズ:小西さんはどんなキャラクターも演じられる役者さんですが、丹三郎からは“丹三郎にしかない熱さ”を感じるんです。
小西さんの声だと分かっているはずなのに、隣で聞いていて「誰の声だろう?」と思うくらい、全然別の人に聞こえる瞬間があるんですよ。そういった器用さはもちろん、「丹三郎を演じるためなら、喉から血が出てもいい!」というほどの熱意も感じて……。そこに鈴村さん演じる一葉のパワーも加わる訳ですから、自分のApple Watchもそりゃ騒音警告を出しますよね(笑)。
ーー(笑)。ユカリス自身の今後の立ち位置も気になります。
ファイルーズ:個人的にいいなって思っているのは、ユカリスは「洗脳されてショッカーになった」という過去があるからこそ、怪人に強い畏怖の念を持っているんです。
今はまだ怯えていて、誰かの影に隠れてしまうことが多いんですけど、これからは「自分を奮い立たせる強さ」も描かれます。そこはぜひ注目していたいただきたいなと。気になる方は原作も読んでいただいて、アニメと一緒に楽しんでいただけると嬉しいです。
ーー最後に、これから作品を観る方へのメッセージをお願いします。
ファイルーズ:この作品に触れるまでは、昭和の「仮面ライダー」を知らないと楽しめないのかな?」って私自身も思ってたんです。
でも、実際は序盤からすごく楽しめるので、ビギナーの方でも大丈夫です! 仮面ライダーが好きな方はもちろん、全く知らない方でも分かりやすい作りになっています。
ぜひこちら側に入ってきてください――お前もショッカーにならないか?
[インタビュー/小川いなり]




























































