
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』竈門炭治郎役・花江夏樹さんが決戦を演じる心構えを語る【インタビュー】
「透き通る世界」の演じ方【ネタバレあり】
ーー花江さんの印象に残っているバトルシーンをお聞かせください。
花江:「絶対に諦めるな。考え続けることだ」というお父さん(竈門炭十郎)の教えがあったから、炭治郎は「透き通る世界」に入ることができた。お父さんの存在のありがたさを感じましたね。透き通る世界を今回の映像で拝見して、すごくキラキラとしていて、綺麗でした。色が付くとこんな感じになるんだと驚きがありました。
ーー炭治郎は猗窩座との戦いの中で“透き通る世界”に入り、さらにレベルアップした姿が見受けられましたが、入る前と入った後で演じられるにあたって、表現を変えたことなどはありますか?
花江:透き通る世界に入ると、ゆっくりと時間が流れるように見えているんですよね。そのニュアンスを取り入れようと思って、自分を客観的に見ているような感じを意識して表現しました。炭治郎が状況を俯瞰しているようなイメージですね。
ーー「透き通る世界」に関しては、非常に繊細なお芝居のニュアンスが求められたかと思います。中でも、特に苦労したシーンはありますか?
花江:「斜陽転身」のシーンは、どのくらい力が入っていいのかというテンション感を何回か録り直しました。
客観的に自分を見ていて、時間が少しゆっくりとなっている感じがあって、その中で技を出す。今まではバチッと決めたり、叫んだりしていたんですけど、「どのくらいの没入感で言うか」は悩みました。
3、4回ぐらい録ったんですけど、スタッフさんから「花江さん、決めていいですよ」とゆだねてくださいました。「録ったものをスピーカーで流すので、聞いてみてください」と言われ、隣に冨岡義勇役の櫻井孝宏さんと猗窩座役の石田彰さんがいて、一緒に聞きながら「どれですかね?」とか言って……。最終的には、自分で決めたんですけど、そうやって任せてくれることが嬉しいです。
ーーちなみに、録り直した3、4回はどんなふうに違うのでしょうか。
花江:「違う世界にいるような感覚で、技を言っている感じ」をどれにしようかなと。ニュアンス的にはそれほど違わないんですけど、臨場感を残しつつ、今までと違った雰囲気を出したかったんです。
遊郭編の堕姫と戦っているところの中で、(体力の限界を超えて戦っていたため)呼吸していないところのちょっと異質なバランスにも近いですね。
ーーこれまでも花江さんご自身で決めたところはありますか。
花江:柱稽古編の最後のところで、鬼舞辻無惨に「必ず倒す!」と言うセリフは、実は何回か録り直しました。別の日に「やっぱり納得いかないので、録りたいです」と言って録り直しさせてもらいました。
この作品はそういったことを歓迎してくれるので、僕は撮り直したシーンがけっこうありました。「炭治郎をずっと演じてくれているので、花江さんが納得したものを使いますよ」と言ってくださるので、すごく嬉しいですし、ありがたいです。
ーー猗窩座の過去が回想されていきます。狛治、慶蔵、恋雪の過去シーンを花江さんはどのように受けとめられましたか。
花江:狛治の過去を見ると、鬼になってしまった猗窩座のセリフのひとつひとつが、人間のころの自分に向かって言っているんじゃないかと感じられるんです。猗窩座は義勇や炭治郎に向かって言葉を言っていたんじゃなくて、人間だったころの弱かった自分に向かって無意識で言葉を言っているように見えてくる。猗窩座の使う技は素流だったり、「羅針」が恋雪の髪飾りと似た形をしていたり、そういった過去と現在をつなぐ要素がたくさん散りばめられています。見返していただけると、きっと違った見え方ができると思うので、ぜひ何度も楽しんでいただきたいです。
ーー最後に、本作を楽しみにしているファンのみなさんへメッセージをお願いします。
花江:今回もいろいろな感情に揺さぶられると思うので、『鬼滅の刃』が持つ“想いの力”を感じ取っていただいて、観終わった後に、ちょっと優しい気持ちになってもらえたら嬉しいです!
[インタビュー/宋莉淑 撮影/胃の上心臓]
インタビューバックナンバー
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』作品情報
あらすじ
入隊後、仲間である我妻善逸、嘴平伊之助と共に様々な鬼と戦い、成長しながら友情や絆を深めていく。
そして炭治郎は《鬼殺隊》最高位の剣士である《柱》と共に戦い、
「無限列車」では炎柱・煉󠄁獄杏寿郎、「遊郭」では音柱・宇髄天元、
「刀鍛冶の里」では、霞柱・時透無一郎、恋柱・甘露寺蜜璃と共に激闘を繰り広げていった。
その後、来たる鬼との決戦に備えて、隊士たちと共に《柱》による合同強化訓練《柱稽古》に挑んでいる最中、
《鬼殺隊》の本部である産屋敷邸に現れた鬼舞辻󠄀無惨。お館様の危機に駆けつけた《柱》たちと炭治郎であったが、
無惨の手によって謎の空間へと落とされてしまう。
炭治郎たちが落下した先、それは鬼の根城≪無限城≫―
”鬼殺隊”と”鬼”の最終決戦の火蓋が切って落とされる。
キャスト
(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable















































