
積み重ねてきた「鬼滅の刃」と冨岡義勇への思い――『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』 冨岡義勇役・櫻井孝宏さんインタビュー
痣の発現、猗窩座の過去。戦いは極限へ――【ネタバレあり】
ーー猗窩座との戦闘中に義勇は痣を発現します。「痣」の発現前と発現後に義勇の表現を変えたところはありますか?
櫻井:映像なりの表現を意識していました。表情の変化やセリフの温度感を拾いながら表現していった感じです。水の呼吸を駆使して戦うのですが、猗窩座は「見た」「見てない」で振り分けてしまう。このやり取りはすごく残酷だなと思いました。猗窩座は義勇の強さを賞賛するけれど、そこには完全に差があるんです。
ーー上弦の参 猗窩座を相手に戦う義勇と炭治郎。戦いは極限へと向かい、激化していく中で義勇の戦いぶりをどのようにアプローチされていましたか。
櫻井:ただただ必死でした。鬼は再生するので、戦いが長引けば長引くほど不利になっていく。しかし、死中に活を見出せる可能性もそこには存在している。死んでも倒れない覚悟で戦いに臨んでいました。
あとは、極力息づかいを入れないようにしていました。戦闘シーンで息のアクションをを入れすぎると、却って弱く見えてしまうので。たとえ劣勢に追い込まれても、そこは息で表現するのではなく、イメージではありますが「呼吸」で表現をしたいと思っていました。
ーー猗窩座の過去が回想されていきます。櫻井さんはどのように受けとめられましたか。
櫻井:もうどうなってもいいと、心を手放してしまうのも無理のない悲劇だと思いました。
猗窩座は鬼になることで人間だった頃の記憶を失っていたけれど、彼自身も思い出したくない記憶として蓋をしていた。そして、その封印されていた過去と向き合うきっかけになるのが、炭治郎なんですよね。炭治郎と慶蔵が重なって、猗窩座は過去を呼び覚ますことになった。「柱稽古編」のときに義勇が錆兎との過去を思い出すきっかけになったのも炭治郎でした。炭治郎自身は慶蔵のことも、錆兎と義勇の関係も知らないのですが、義勇と猗窩座の心を動かすきっかけになっている。面白いのは、そういった裏に這うドラマを知ることができるのは観客、視聴者だけという点です。その作品構造がすごく面白いなと思いました
ーーアニメ「鬼滅の刃」は7年目へ、さらなる展開へと向かおうとしています。「鬼滅の刃」ファンへメッセージをいただけますでしょうか。
櫻井:この作品の魅力は、なんといっても映像の美しさです。圧倒的クオリティのアニメーションは、作り手の覚悟が込められた思いの結晶です。皆さんもスクリーンに飛び込むような気持ちで観てください。キャラクターもそうですが、作り手の心や感情に触れるように楽しんでもらえたら、演者として作品に携わる者として、これ以上嬉しいことはありません。無現城の死闘を迫力のアニメーションでご堪能ください。
[インタビュー/タイラ]
インタビューバックナンバー
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』作品情報
あらすじ
入隊後、仲間である我妻善逸、嘴平伊之助と共に様々な鬼と戦い、成長しながら友情や絆を深めていく。
そして炭治郎は《鬼殺隊》最高位の剣士である《柱》と共に戦い、
「無限列車」では炎柱・煉󠄁獄杏寿郎、「遊郭」では音柱・宇髄天元、
「刀鍛冶の里」では、霞柱・時透無一郎、恋柱・甘露寺蜜璃と共に激闘を繰り広げていった。
その後、来たる鬼との決戦に備えて、隊士たちと共に《柱》による合同強化訓練《柱稽古》に挑んでいる最中、
《鬼殺隊》の本部である産屋敷邸に現れた鬼舞辻󠄀無惨。お館様の危機に駆けつけた《柱》たちと炭治郎であったが、
無惨の手によって謎の空間へと落とされてしまう。
炭治郎たちが落下した先、それは鬼の根城≪無限城≫―
”鬼殺隊”と”鬼”の最終決戦の火蓋が切って落とされる。
キャスト
(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

















































